#その他社会学

弓と阿波

最近残念ながら弓に触れる時間が少なくなっている。 毎週引いていたときは練習機会は週数回であったとしても弓のことは毎日考えていた。 しかしそれが全く途絶したとき、非常に残念なことに毎日弓のことを考えている自分がいる。 弓道は極めて限定的で定式化…

野球的雑感2

来季のジャイアンツに宮本和知が入閣するらしい。 安倍改造内閣に片山さつきを入れるくらい不安なことだ。 一体に、野球の来季人事は政治的な要素が多い。 組閣というくらいだから、野球に関しても論功行賞や信賞必罰、縁故が働くことは間違いないのだろう。…

弓の都々逸

誰が言ったか知らないが三大稽古の弓修行、 見取り稽古に数稽古、工夫稽古は最後の砦。 数稽古なら馬鹿でもできる、見取り稽古は赤子でも。 工夫するには頭を使う、使う頭を間違えりゃ、道と称する下手修行。 結婚詐欺では女が泣くが、自分を騙して泣くのは…

野球的雑感

中日の浅尾が引退するらしい。 本当に悔いがない、というヘッドラインでYahooニュースに出ていたが、 その表現にどこか落合の酷使に対する(記者側の)恨み節が感じられて何となく嫌な気分になった。 最後の登板になった先日の巨人戦をたまたま見る機会があ…

手の内

松井秀喜はMLBに移籍した当初、外角の変化球に苦戦した。 外に広いといわれるストライクゾーンとも相まって、日本の投手には見られなかったクセ球に翻弄されていたといわれる。 「それは魔法のような言葉だった」と後に述懐するのは、監督であったヤンキース…

弓に関するエッセイ

よく出入りする弓道場での話。 その場所は、誰でも自由に出入りができる公共の場では「珍しく」オープンな道場であった。 来る人来る人が黙々と自分の弓を引いている。 「公共の」というのは本来出入りがしづらい場である。 よそ者の弓道家が足を踏み入れる…

雑感

ずっと以前から不思議に思っていることがあった。 今日も弓の話である。 もっと引きなさい、会をもて、という人が三人か四人ほどいる。 ところが全員自分が言うことを自分で出来ていない。 奥ゆかしい指導者とは、他人にのたまうことは自身が出来ていると思…

youtubeと弓

最近、弓の世界でも動画のネット配信に難癖がつけられたらしい。 今日も弓の話である。 通達によると、被写体(射手)の同意なきものに関しては配慮(今風に言うと忖度)をなさい、ということが書いてあるそうだ。 私はまったくもって同意である。 矢をぽと…

弓射と酒

高校生の頃、出入りの道場で酔客が珍しくなかった。 今日も弓の話である。 公共の弓道場で、一升瓶を持って弓を引いていた面白いおじいさんがいたものである。 酔って若造に講釈を垂れていたのとは違う。 自分の弓を淡々と追求していたのが心に残る。 さなが…

弓は人を

弓の大病には早気やもたれ、ゆるみがある。 ここに震えや不中を加えてもいいかもしれない。 ところがこのなかで、もたれはなんとなく会が長く見せ(魅せ)ることが出来るから不問に付される傾向がある。 会が射の見せ場(いわばシャッターチャンス)として人…

切磋琢磨

この間シャレにならない苦労話を聞いた。 いつもの弓の話である。 その人は、いわゆる流派弓道あがりの人で一般の市民道場で苦労されている、弓道難民の一人である。 あるとき、弓を引いていると開き足の作法が違うと上段から偉い人に注意されたらしい。 も…

悪魔に魂を

百発百中の弓の名手に成るのなら是非にでも悪魔に魂を売る。 そう嘯いたことが幾度となくあった。 今日は現実にいた名手の話である。 いざ弓を執れば百射皆中、調子が悪くても90中は固く、 不動の異次元の射手というべき人がいた。 ここで歓迎されるのは射は…

秋風や

芭蕉の弟子の去来の句であったか、 秋風や白木の弓に弦はらん。 湿気が失せて、一気に気温が下がり、秋口に白木の弓を引き出してくる。 そういう一句に則して言えば存外風流であるが、 何のことはない最近弓を買ったのである。 故人は弓をそれこそ何張りも購…

馬手

久しぶりに200本引いた。 といっても100本を越える日も最近は週に一度はあったが、 やはり矢数がないと気付きが訪れない。 最近ずっと調子が悪かったから引くことに集中していた。 188本目でやっとおかしい箇所に気づく。 あ、しまった、これはこうなんだ、…

小離れ

小離れ、中離れ、大離れ、 教本にはおそらく弓道の初心者は心持ち大きく離すような離れが良い、 と書かれている筈である。 古写真を見ると、どの名人もいわゆる小離れである。 現代の人間にはもしかしたら真似出来ないことではなかろうか。 自然に離れた結果…

街角の名人たち

どんな街角にも弓の名人はいる。 私の知る限り、いまよりも弓の文化が華やかだった時代がある。 さながらスター・ウォーズのEpisode 0の世界であるが、 つぶさに見ると文化が興隆と衰退を繰り返している、まさに衰退の部分に残念ながら私たちは身を置いてい…

100分の一秒の弓

さいきん道場で練習しているときに、 たまたま他所の道場の人が来ていた。 それは少し変わった人で藪から棒にスマホで射形を撮影して、 ここがよくない、これはいいね、と本人と反省会をする嫌いのある人であった。 例に漏れず私も撮影対象になったわけであ…

朋輩

初めて会った人のなかにも不思議と気が合う人がいる。 それは年齢や性別すら関係ない。 以前から考えていた流派の仕組みについて全く同じ意見を持っている人にたまたま会った。 自分しか世界の中で気づいている人間はいない、という気持ちでいたので 悔しが…

ある弓道場にて

弓道場に行った話 その日はやたら混んでいて、大学生やら、社会人やら、大学生でも他大学の十何人かが押し寄せて来た日であった。 的はせいぜい八つ九つしかないから、必然身内での持ち回りか、初対面での譲り合いとなる。 そこに和服を着た眉目秀麗であった…

名人

たまたま有名な人と一緒に弓の練習をすることがあった。 ネットではよく見ていた人で、穴が空くほど見ていた人だったけれど、 実際どういう人なんだろうと興味津々だった。 ここで話として面白いのは、豪快な弓を引いて、一つ一つの言葉にものすごい含蓄があ…

羽分け

ひさしぶりに弓の試合にでた。 弓道では的に半分矢があたることを羽分(はわ)けという。 的中率50%という意味である。 あたった矢と、外れた矢が羽で数えると半分ずつ。 弓を引いている人の間では常識である。 もう何年も弓を引いている人がたまたま試合会…

厳しい時代に妙薬を

この職場にも3月末の大人事の波が来た。 なかなか仕事のできる人間の集まりかと思えば幾人かが呆れ返っている。 公然と上役を批判するちょっとしたアナーキーである。 人事を司るのもこれまた優秀な人間であるが、 人の心のざわつきを作る力も強かったと見え…

弓と心?

古来、弓を心と結びつけることはあまり盛んではなかった。 戦場で命のやり取りをする上で自らの心を省みることに価値を置かなかったためである。 敵を斃せば生き、射抜かれれば死ぬという簡単な結論しか用意されていなかった。 近世に入る前、日置流が誕生し…

古武士のような

なんとなく昔のことを思い出したので書く。 いつもの弓の話である。 高校生の頃、同じ地区内のK女子高校にO先生という人がいた。 いつだか顧問のN先生と立ちを組むということで十二人立ちの大道場で矢取りを頼まれていた。 O先生は十二番的の大落で、私は後…

トップアスリート

清原が逮捕されて非常に衝撃だった。 物心ついたときに野球中継を見だして、丁度清原がFAで巨人に入ってきた頃だった。 もっとも気がついたら高校生のときで、第一次原政権の代打清原が一番印象に残っているが。 終盤の勝負どころか、勝負どころかよく分から…

世界を見るということ

弓の話である。 先日稽古をしている時、立ちで入ることがあった。 私の後ろにまだ弓道歴の浅い、それでいて真面目に練習に来ている人が引いていた。 座射で入るわけであるからそれは一つの儀式なのであるが、その人は飛ばした矢が二本とも的に届かず、 二回…

酔いどれた19歳

先日地元に帰っていて年始だったから行きつけの飲み屋も大抵閉まっていた。 あてどなく近所の人気のない商店街を歩いていると元日の夜にも関わらず開いているBARがあった。 前々から気になっていたが、若干オーセンティックな感じがして少し躊躇していた店だ…

訃報に接して

はじめに断っておくけど、身内が死んだわけではない。 加藤治子さんが逝去したというニュースを聞いて色々考えていた。 近年誰かが死んで一番衝撃的だったのは1位丸谷才一、2位高峰秀子だった。 これは息が止まるほどの衝撃だった。 丸谷才一はエッセイ集を…

雑記

1.いい男にはいい影がつく。 先日オペラ歌手と話していた時、全盛期は40代を越えてからという話を聞いた。 まあ、スポーツ選手のように体をバリバリ使うわけではないからそういうものかもしれない。 いわく、人生の経験が声に出るから深みが出るという話であ…

佛と弓と教養と

最近くずし字を勉強している。 よく弓の世界では仏の旧字体である「佛」を持って次のように言うことがある。 菩薩は弓と二本の縦棒、つまり一手の矢を携えている。 だからホトケ様は弓を引いているのだ。 それに愛染明王は弓を持っているだろう、と。 これは…