野球的雑感2

来季のジャイアンツに宮本和知が入閣するらしい。

安倍改造内閣片山さつきを入れるくらい不安なことだ。

一体に、野球の来季人事は政治的な要素が多い。

組閣というくらいだから、野球に関しても論功行賞や信賞必罰、縁故が働くことは間違いないのだろう。

最近宮本はズムサタのジャイアンツコーナーで名前を売っていたが、どうやらその辺りのメディアの高評価がコーチ経験無しの一軍格での起用につながったようだ。

宮本は引退が比較的早く、それも巨人戦がテレビで延長夜10時過ぎまで放映していた絶頂期のリタイアだったことから最初はズームイン朝で福留アナとジャイアンキチガイの一翼を担っていたが、若手のアナウンサーが軽々と巨人を批判すると生放送でも逆上するというのがひどく印象に残っている。

今はプロ野球人気が往時よりも低迷していると言われているが、その時代の日ハムの試合などは同じ東京ドームが本拠地である立地的優位を考えても信じられないくらい閑散としていた。

近所の朝日新聞の集金さんが販促で日ハム戦のチケットを無料で配っていたのをよく覚えている。

もう二十年ほど前の話だが、内野席のチケットを犬も食わない紙切れのように配り歩いていたのである。

いまでは信じられない話だ。

パ・リーグを応援するのは東京の人間でヤクルトを応援するくらい奇特なことで、それも南海ホークスの時代からの、とかオリオンズ時代からの贔屓でという間違いなくコアで、野球談義で融通の効かない種類のファンくらいしかいなかったものである。



閑話休題。こうしたコーチ人事は巨人がCSに負けた瞬間から表に出てきたが、

つまりは背景に人事を司るカムバック1億円原氏が蠢動しているためで、

どうにも美人局を糊塗する後ろ暗さと加山雄三とニックネームがかぶる若大将に違和感がある。

そしてどうして宮本を入れるのだろうか。

これは初めから投手陣の責任を、上手くいかなかった場合に、素人がコーチだったためです、という申し開きの下地を作っているように思えてならない。

早くも原は来季の防御率の計算をあきらめたのではないだろうか。

これは同じく女性問題でNHKのスポーツ解説を降板した与田剛がいつの間にか中日の監督に据えられるのと似ている。

どのように考えても、二軍で3年も監督をしているガッツの昇格が後回しになるほうがおかしい。

しかも宮本の場合、大エース斉藤の後釜になるのである。

さすがに一人では、という負担と名跡の踏襲の噛み合わなさを考えてここにはもう一人、水野雄仁が入るらしいが、池田高校最後のエースというイメージがある無難なことしか喋らない相槌解説者水野が果たして。



八時半の男、宮田征典がその昔のズームイン朝で野球人枠で出演していて、

子ども心に、このおじいちゃんは野球選手だったんだくらいにしか思わなかった好々爺が宮本のキレキャラと好対照をなしていたが、要するに今度の組閣は自分よりも実績あるいは年齢の浅い支配しやすい人員の横並びという感も否めない。

巨人を清原並みのお払い箱でクビになった村田修一も返り咲くことを考えると、

ここはヤンチャで鳴らした男村田の存在感を期待したいところだが、

首輪をつけられているような気がしてならない。

栃木とそして東京ドームの二度も引退興行をしたわけだが、二度目のときには今の人事はすでに決まっていたのだろう。

緩衝材的な意味合いで二度目の引退スピーチをしたのかと思うと、

初回についで立派な淀みのない口上はどことなくサラリーマン的な従順さを感じさせる。



そして結局のところ松井秀喜の名前は今回も挙がらないが、

このまま行くとヤンキースの特別コーチのまま江川卓コースをたどるような勿体無い未来が見えてきそうである。

われわれの時代の感覚であると江川が現場に復帰しないことを惜しむ声はあまりリアルタイムを知らないためにピンとこないが、これが松井の場合は、これから年に数回バラエティ番組に出て春季キャンプで臨時コーチで招聘されるだけというのはさすがに、と思う。

毎年春になると松井がバッティングを披露してホームランが飛び出るか固唾をのむ、

ことをこれから先も延々と村田兆治の球速表示に着目するように続けていくのだろうか。

本来ならもっと大きな夢を引退してもなお見せてくれる器を持っているから松井は松井なのだ。