2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

匂い

最近の自分の生活を省みると、 それが極めて単純な連続を繰り返していることに辟易する。 北氷洋のメールシュトロームに呑み込まれた瓶が暫くの後海上にふたたび頭をもたげ、 また永遠に渦の中心に向かう運動を繰り返す。 その螺旋のなかに壱滴でも流れの変…

後ろ向きな人間

精神の漂泊はもっぱら過去への遡及の旅なる。 純に延延とぐろを巻く夢想を宙に繰り返すれども、 斯様のときに脳裏に浮かぶのは過去の一里塚に今また振り戻ることに他ならず、 遠く北欧の地を両足にて踏みしめた感覚は容易に思い出せれど、 あの痛覚をなでる…

最近の生活

土岐善麿のNAKIWARAIを読む。 淵博であでやかな司書たち。 金銭不足によるジャガイモ生活(筍生活では無し)。 戮力の成しがたさを知る切磋琢磨。 達識の程遠いいこと。 遁走の先には何も無く、遁走のあても鼻からあらず。 ルース・ベネディクトなる…

矛盾のなかに真理ぞ眠る

貝原益軒は養生訓を著わせり。 しかれども謹厳なる禁欲を説き諭す本人が多淫であったそうな。 真実は奇なるものかはいざしらず、そのことにおかしみあり。 かえって二律背反すればこそ、その訓戒に傲慢と説得の力これありと思ふ。 こは映日果の木を呪ったキ…

ツバメノート

学術を紙から支えてきたツバメノートが値上げする由。 凶事のお触れなる。 その学(まなび)の空にはばたく燕の両翼、 遠ざかる、秋のたれぞかれ。 値下げすることも当節かなうものではなく、 今を逸すればもはや安価に入手すること能わず。 諸兄よ、文房具…

なわとび

なわとびはよい運動になる。 たるんだおなかが単調な残像を上下にえがく。 それが上へ下へとたぷんたぷん、 そして今度はぷよぷよと、 近頃なればふよふよと、 しまいにゃ、音はしなくなる。 静かなおなかをながめつつ、 騒がしかったあの日を懐かしむ、 二…

古文

なぜ林羅山が漢文で用いた由を質するのか、 あるは如何に儒学が嘗て学問を席巻していたのかを思案するのか、 然もなくば、小子の無知を内省するのか。 選択の余地繊毫望む可くもなし。 さればその後悔責苦の後の妙なる一筋の光明を当座は信じようと思ふ。

朝の恩恵

早起きは三文の何とやら。 しかし今朝の早起きは、今日の価値にして九〇円ほどの額とは比すことのできぬ価値アリ。 早朝から催されるは古書のりさいくるである。 これだけの書物を一冊一〇円という寄付で放出するのだ。 知識の暗がりに照らされる啓蒙の光が…