マイケル・ホンダ

ブックオフアメリカの議員年鑑を買った。

少し古い2004年版の"CQ's Politics in Amrcia"だ。

例によって105円という格安で提供するブックオフの懐の深さ。

すばらしい。

ブックオフは多大に文明に寄与しているという点でいつの日か表彰されるべきである。

私が日本にずっと住んでいたいのはブックオフがあるからだ。

単に洋書の在庫がだぶついているので、安く放出しているだけという事実はこの際どうでもよい。




この年鑑に例のマイケル・ホンダ議員が掲載されている。

日系アメリカ人なのに従軍慰安婦関連のロビー運動に反応するのが不思議でしようがなかったが、

経歴を見ればいろいろな事がみえてこないでもない。

1988年に、ホンダ議員は第二次大戦中の日本人抑留に対するアメリカ政府の公式な謝罪を引き出すきっかけになるロビー活動に参加している。

この体験が後の立候補につながった由。

議員となった後の2001年、9月のテロ攻撃の影響で、アラブ系アメリカ人が社会から排斥されるべきでないことを議会で厳格に訴えている。

自らが第二次大戦中抑留されていた経験から、同様のことの繰り返しを防ぐという観点で活動をした由。

同年には、共和党選出の下院議員とともに、第二次大戦中の捕虜の労働活動に対して、捕虜を使役した日本企業が金銭的保障する旨の議案を提出している。

どうやらこれは通過しなかったようである。

しかし複線はこのあたりにありそうだ。




経歴から議員スタンスを察するに、

人道主義というのがその根幹にあるようだ。

学部卒業後には平和部隊に参加している。

エルサルバトルでの2年間の勤務が活きてスペイン語に堪能となる。

帰国後には地元サンフランシスコのサンホゼのヒスパニック層と親しいお付き合いが始まる。

彼らはマイノリティーもしくは"under-represented(代表されない者)"たち。

選挙に当たっては労働総同盟の全面的なバックアップを受けている。

ホンダ議員にとっては最大の利益団体である。

2002年に二選したときは、地元のアジア系コミュニティーから支持を取り付ける。

このアジア系というのがなかなか曲者で、

サンホゼアジア系アメリカ人の構成が26%で、人口90万のうちの約234,000人。

手元の統計からはこれ以上はっきりしない。

だがこのアジア系を構成する人種のうち、日本人よりも多いのが中国人や韓国人なのである。

これに無視することができないのはいわずもがなのことだ。




注目すべきは、ホンダ議員は地元のアジア系全体の利益を代表しているという側面にある。

これには中国人、日本人、韓国人、ベトナム人などが含まれている。

選挙でバックアップしてくれる彼らすべての利害調整をしなければならないのだから、このあたりが議員の苦しい胸のうちといったところか。

バランスをとることを狙うならば、そのうちに日本人をフォローするような決議案も提出するものと思われる。

ホンダ議員を純粋に日系人としての観点から見ることはいささか難しいようである。




うーむ、このままでは結論がでないので、占めに一言。

がんばれ、ホンダ議員。