先生

今日の稽古。

女子大の弓道部が練習に来てた。

学校に道場がないため市営の道場に間借りをしている。

そこにおばあちゃんがひとり。

よぼよぼの腰が曲がった四キロの弓を引く米寿の婦人

弓はリハビリよ、が口癖。

実は先生で、女子大生の指導をしているらしい。

それはいい




しかし…

稽古中のおれに横やりをいれてくる

今日も…

「あらあなた右肩があがっているわよ」

「離れの方向がおかしいわよ」

「練習し過ぎじゃない?」

とうんぬんかんぬん

最初のふたつはいい、

っていうかおれもわかってる

だが、

練習し過ぎじゃない?

ってなんや?




そこの女子大弓道部は週二回の練習で計40射する。

おれは週四回で計400射する。




練習し過ぎ?

ふっ、だからリーグ戦最弱校なのだよ。

圧倒的に練習量がたりてない。

おまえは週40射でうまくなれんのか

しかも自分の学生を放っておいて他人の俺に指導を入れるって?

いや、今日は女子大生にもおしえてた。

ちらっと見たぞ

「そうそう、離れは大の字に話すのよ。えいっ!て」

ばきん(ひっかかるような金属音)

「そうよ、いいわね!」

その子の左腕は弦にたたかれて真っ赤

学生たち、かわいそすぎる。




弓には先生になりたがる人が多い

あたらない子はほおっておいて、

とりわけ的中の出る人に先生はむらがる

かくして優秀な射手はつぶれる

俺も高校時代に餌食になった。

ファック

頼まれてもいないのに教える人を見てると…

ファック!