恋心

或る知った女にたまさか会うことがあった。

およそ三年ぶりである。

実を言うとその女を好いていた気持ちも不埒ながらあったのではあるが、

種を明かせば向こうは夜の女。

われわれが昼間に活動している時間でも、彼の女は朝に寝て夕暮れに起きる生活を続けていたためか、

およそ一点五倍の大きさに目方が増えていたのである。

いわゆる「ふくよかな女性」のことを「ジオング」と言い換える悪癖が近年染み付いていたが、

一度好いた手前、そして久方ぶりに再開した為の社交辞令として、

「全然変わっていないね」と述べたところ、向こうは大きな笑顔をたたえて、

「本当にそうなのね?ありがとう」という、自らの自重に自覚的でありつつ自尊心を堅持した台詞と、

これ以上の外見に関する評言は全く不必要である旨の圧力を全面に表わしていた。

なにか罪な言葉を言ってしまった気がする。