団藤重光死去
赤門の近くのある団藤先生の家にお邪魔して、そこから上智大学での講演会にお供したことがある。
先生は腰が悪かったので、大学の前につくとすぐに車いすにお乗り頂き、
それを押したのが懐かしい。
かれこれ六年前の話である。
家の玄関先では奥様がお見送りになられたが、
玄関に法律の叢書が床から天井まで整然と並べられていたのを見て圧倒されたのを憶えている。
上智大学ではホセ・ヨンパルト先生がお出迎えになられて、講演会の司会をつとめておられたが、
ヨンパルト先生も本年四月に逝去された。
団藤先生が久しぶりに公の場所に姿を現すということでマスコミが数社訪れていた。
当時団藤先生は92歳であったが、壇上のあがるとそれまでの温和なイメージから一転して、
非常に険しい顔をして理路整然と講演をおこなわれた。
団藤先生をお迎えに行くときには、
上智大までのタクシー代を一万円だか五千円だか頂戴して、
おつりを未だに返し損ねているのを思い出した。
あの日のことはよく憶えている。
合掌。