ブリタニカ百科事典、書籍版244年で幕

ブリタニカの版権が英国から米国に移ったのは第二次大戦前らしい。

最盛期の売り上げが日本でバブルの頃の1990年前後。

全世界で17万部ほどの売り上げ。

浩瀚な事典で、日本円で20万円超するものだから売れたほうなのかもしれない。

最新の売り上げが8500部。

ニュース記事には書いていないが全世界での売り上げが8500部である。

NHKのニュースにも紙媒体ブリタニカ発刊終了の旨が流れていたが、

まさかそれほど発行冊数が少ないとは思わなかった。

MacropediaとMicropediaに分冊されてからたしかに使いにくかったが、

(モーティマー・アドラーはタクソノミストとしては優秀だと思う)

最新15版が改版されたら買おうと思ったのに。

密かに改版を待っていた読者としては悲しい。

つまりは電子版に完全移行すると言うことなのだが、

ところがどっこい昨今のWikipediaを筆頭とする生きた不確実な事典に押されているのだから、

記事には逐一書名入りの、

それに何年も更新されない静謐とした事典を参照する人は少なくなるだろう。

ブリタニカと聞くと、私たちはどうしても第11版の栄光や、

徳富蘇峰新渡戸稲造が紐解いた大英帝国の叡智を想起しがちだが、

版権がいつの間にか大西洋を渡り、誰もが編集可能な辞書が膾炙したいま、

その栄誉も、

人類の全知を収録しようとした大時代な試みにも終焉が訪れていることを感ぜざるを得ない。

今年一番の落胆。