しみじみ

道場へ先日入手した某十九代師の弓を持っていったら、

お偉い方々にちらちらみられる

やばい…目立ってる俺?

(ではなく弓)

きづいたら、とある先生が十九代を手にとり肩入れしてる!

先生、それはだめですよ

初心の頃に習いませんでしたか

人の弓を断りもなくさわってはいかんざき

(っと言ってやりたかった)




先生も在りし日は七分三厘を引いていたし、まあ分かってる人だと思うけど

(でも本当はだめだよ)

先生は五八歳のとき、行射中に右肘を骨折したとか

その歳になるまで七分三厘なのだから唸ってしまう

「でも還暦すぎるとあかん。体が言うことを聞かんようになってくる。

さいきんは座射の立ち座りもしんどい」

強弓引きが言うとしみじみとしたリアリティーがある

「あんたも若いうちに段はとっといたほうがええ。年には勝てん。

強弓も昇段も若いうちや。昔は、どやこれが俺の射や!、って七分三厘引きまくっとったけどなあ

今はもうあかん。」

うーん、しみじみ




「びしばし引いて中りを出し続けられるなら周囲も認めてくれる。

でもそんだら中(あた)ったり中らなかったりはいかん。あんたもずっとあたらにゃいかん」

最近のおれの好不調に一言

うーん、やっぱりちゃんと見られてるんだ

先月の的中率が五割だったから、ホントに中ったり中らなかったり

月に四度も顔合わせないのにねー

「わいも国体でとったときは外さない人たくさんみた。でも中る人はみんな奇麗な射しとる。

まだあんたの射は研究する余地たくさんあるで」

とまあ、斯様なやりとりをする。




今年に入って異常に執心してるけど、おもえば弓を手にしたのは五年ぶり

現役のころはもうちょっと中ってたし、なによりあの時よりもおっさん

成長するにも変化するにも時間がかかるようになった

筋力とスタミナでは昔日に勝るけど、自分の目標までの到達がおっそい遅い

強い弓引けるようにはなったけど、前に一日でできたようなことに今は一週間かかる

やっぱり俺おっさんだー

と、しみじみ




先生に研究の余地ありと指摘された部分

(例によって手の内なんだけど)

それが例によらず諭すような言い方でいわれるとシュンとしちゃう

分かってます、俺も最近これじゃやばいと思ってます。

でも、

いつもなら「あかん、おまえなんか話にならん」って一蹴するのにさ。

それをとうとうと語るもんだから、なおさら

しみじみ。