肥後蘇山

肥後蘇山は熊本の合成繊維の弓なり、

合成弓にもかかわらず裏ぞりがあり構造が竹弓に近いとされる。

もともと製造元は矢師(竹矢を作る職人)だったそうだが、

(熊本は矢師がたくさんいるそうな)

いまは肥後蘇山という商品も世に問うている。

小生が使う二寸伸びはグラスファイバー製のもので、

北欧留学に持参したのもこの弓だった。

いまとなれば懐かしい、あの頃は高校卒業以来まったく引いていなかったのに、

背伸びして19キロを購入したのであるから。

まともに引けないばかりか、矢もどこに飛ぶかわからない有様であった。




5000キロの旅を伴にした弓はさいきん、

週500射の矢数をかけているためか、

どうも矢を送るスピードが鈍くなってきた気がする。

今年に入ってすでに一万射以上引いているし、

前からそれなりに引いているから少しへたってきたのかもしれない。

もう一張り弓を買おうかとも思うが、合成弓も使い込めば愛着がわく。

道具も過度に使い込めば消耗する。

いま使用できる唯一の弓なので、少しばかり哀しい気分になる。

秋口に買う弓は二張りにしてみようか。

たくさん引くなら弓も矢もたくさん必要だろうか。

吝嗇して道具一つで済まそうとするのは無理なのだろうか。

達人は道具を選ばないだろうが、達人はいつも選ばない道具で弓を引く訳ではない。

その人に合った適当な道具は確かにあるはずだ。

いろいろに考えてしまう。




今日の稽古ではひたすら矢は的の後ろに抜けた。

きちんと引いていないときはかならずこうなるのだ。

しかし矢が的の下に飛ぶことが連続してあった。

これは弓がへたっているからのような気がする。

やっぱり新しい弓買っちゃおうかな。

いろいろに考えてしまう。