Kessinger Publication

Kessinger Pub.とは、希少本の再販を行っている版元で、

Froudeのカーライル伝やTindalの教会批判書もこの出版社から入手できる。

しかしときには何百年前の原本をフォトコピーしたものをそのまま印刷した体(てい)で発刊するので、

あまりにも読みづらいという欠点がある。

ありていにいえば版権が消滅したものをただコピー本として売りだしているだけだ。

結果的に年月でインクの薄らいだ原文の歴史的雰囲気をかもし出しつつも、

読みにくい、という書籍においてもっともあってはならない二次被害を惹き起こしている。




ところで、迂生の本棚に目をやるとCASTLE BOOKという版元の本を見出し候。

こはやはり似たような体裁の書籍ではこそあれ、きちんと読みやすい印刷活字に起こしたもうている。

この版元の二冊も見出したがいずれも読了せず。

分厚すぎるのが読書意欲をそぐのかしらん。





はたしてこういった復刊ビジネスはもうかるものなのだろうか。

というのは、Kessingerから発刊されている本はのきなみ著作権フリーでありながら、

手間賃込みなのか30ドル以上の金額は手堅くいただいているからだ。

それほどいい紙を使っているわけでも、カバー裏側の見えないところに江戸っ子堅気の刺繍が入っているというわけでもない。

それでも30ドルという無用な額をとるのはこれがKessingerの独占市場であることを物語っている。

当該商法の巧妙なところは、今日インターネット上でどこでも閲覧できる類の本は再販していないのである。

普段は見ようなどとは露にも思わないが、いざというとき入用になる類の本をそこここで揃えている。

カーライルの著作はきょうび電子媒体でただで誰でも入手できるが、

カーライル伝の場合はそうもいかない。

ここしかない、というツボを的確に突いてくるしたたかさ。

そこで商売をされてははがゆくて仕方がないが、

だからといってそれを売ってもらわないと困るのよ。

アンビヴァレントな気持ち。