カクテル

深夜にふと、カクテルを作る。

おそらく誰にもサーブされることがないカクテルを夜半ひっそりとこしらえる。

ありあまりの洗練されていない無為なる材料でカクテルをシェークする。

シェーカーのなかに一つ一つつまむように氷を入れてカクテルを精製する。

先日入手したジューサーで果物の濃縮された液体を抽出してカクテルする。

しゃかしゃかと夜中の静寂にシェイクの音を貫かせてカクテルをつむぎだす。

搾出する果物がグレープフルーツしかないと気づいてもカクテルをシェークする手を止めない。

それに相対してリキュールは豊富にあるが、実はそれではそれほどのバリエーションのカクテルは作り出せないことを知りつつも、その手を止めない。




くどいか。

しかしながら昨晩のカクテルの味はそんなものだった。