シュールストレミング

※過去の文章を掘り返していたらアップしていないのがあったので公開(半年くらい前の話)

シュールストレミング

それは世界一くさいといわれる魚(の缶詰)…

それはスウェーデンの名物(?)…

それはくさやの100倍の臭さを持つ(らしい)…

それは法律で開封する場所が制限されている魚でもある(これはほんと)

スウェーデン滞在10ヶ月にして遂に私はこの魚を食したのだ…







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それは先週の金曜日のこと

以前から計画されていたシュールストレミングパーティー(度胸試し)がついに実行に移されたのである

主催者は今学期から来た日本人の学生

っというか集まったのは皆日本人学生

最近同国の人とばっかりつるんでいる自分に気づく(英語を一番使わない環境)

いずれにせよ皆はかの魚の悪魔的な匂いに臆することなく集った勇者たちである

しかしその勇者たちのほとんどが一度もその悪魔と相対したことがなかったのもまた事実である

この軽率さを後の悲劇を生む結果となる…











開催場所は学生寮内ではなく、少し離れた人気のない場所となった

近くにある冬のビーチ

あたりには人っ子一人いない












                          そして主催者が缶詰の開封作業に取り掛かった

                          その勇気に感服しつつ周囲の者達は後ずさる

                             彼が缶切りを悪魔の缶詰の縁にかけた




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                                 一呼吸置いて





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プシュ!!(缶詰の音)

私:あ、あいたぞ(;´Д`)








                              それは悪魔が発する瘴気が
                         密閉された監獄から解き放たれた瞬間であった…
                           よほど長期間放置されていたのであろう
                         そのほとばしるガスの勢いは猛々しいばかりだ






周囲:どう… 匂う…?



3mほど離れて封印が解かれる瞬間を見守っていた我々は
開封者の様子をにわかにうかがっていた
なにしろ世界一臭い魚である、最悪の事態を予想していたのだ

しかし…






















開封者(主催者):いや、全然臭くない(゚д゚)













周囲:Σ(゚Д゚;≡;゚д℃(゚д゚)エ? ホント?

開封者:ぜんぜん臭くないよъ( ゚ー^)

周囲:世界一の臭さというのはただの噂だったのか(-人-)
    なんともあっけないものよのう(。・ε・。)
    さて我々ももっと近くで、その前評判だけの代物を見てみようではないか(・ε・ )




















                               なんともあっけない開封式に
                              周囲はため息交じりの安寧を得た
                      (´ー`)y─┛~~  そうさこれでよかったのさ




                       結局は見掛け倒しの缶詰に我々は半ば愛想を尽かした

                                 そして誰もが思った
                                 おそるるに足りぬ と











                               しかし悲劇はここから始まった…














開封者:うん…?ちょっと何か匂うかも(・_・)

周囲:え…?大丈夫??(;・∀・)














開封者:うわ… (;´Д`)クセー!!

周囲:キタ━━━━(°Д°)━━━━!!!!











                                   それは突然やってきた
                 一瞬油断させておいて、はらわたに強烈なボディーブローを見舞う
                          そう、ボクサーにたとえるならそんなタイプだ
































っていうか本当に臭い

















                             その突然の悪魔の到来に狼狽した我々は
                        瞬時に瘴気の有効範囲外(10m以上)に退避する














開封者:あれは夏の公衆トイレの匂いがしたぞ|´д`)


周囲:いやむしろぼっとん便所に近い(´д`lll)
   っていうか本当に食べ物なのかあれ!? (´д`)












一同騒然としつつ
隊列を組みなおす

落ち着け、落ち着いて缶詰に近寄る機会を狙うのだ

そう、このパーティーの主旨はあの恐怖の大王を食することにあるのだから
















開封者:よし俺が行くぜ(#  ̄ー ̄)〇

周囲:がんばれ、無茶するなよ…(;´∀`)












                            そして勇気ある開封者が風上から接近する
                        缶詰の目の前にたどり着くが、途端に彼の顔が歪む


                                  周囲の誰もが思った
                             もうがんばったからいいではないか と
                               なぜこれ以上戦おうとするんだ と



続く