英訳・翻訳

ネットで英訳ボランティアの募集を見つけたのでなんとなく応募してみた。

すると「実際に英訳をする前に試験的にこの文章を英訳して欲しい」と言われる。

受け取ったのはなんともないA4一枚分の内容だが、これが意外と難しい。
 
英語と日本語は表現も言い回しも違うから、A4一枚分の日本語の文章でもいざ英訳してみると、

これが不思議と2枚にも3枚にもなったりする。

英語でも日本語でも翻訳するのに一番苦労するのは行間を理解すること。

例えば、『研修の一環として訪問した先の幼稚園で先生や子どもたちからカンボジアで使っている遊

具について聞かれ、木の葉や紙などで遊具(馬や鳥など)を作ったところ、子どもたちに大人気だっ

た。』という文があり、

それを As one of the training programs, I visited a pre-school. Teacher and children asked me for what kind of toys children in Cambodia usually use. I made horses and birds from paper and leaves in front of them and I had a very good reaction.と訳したとする。

しかし、もし誰かがこの英語の文章だけを見ると一体何が言いたいのか分からないだろう。

そこで Involved in one of the training programs I visited a pre-school. Teachers and children in the school asked me what kind of toy are used in Cambodia. Seeing is believing; I handcrafted them in practice. My toys were different from what Japanese children usually have such as video games and plastic toys. What attracted their interests especially were horses and birds made of papers and leaves.と書くと言いたい事をより汲み取ってもらえる。

「日本の子供たちはテレビゲームとかに慣れてるから、俺たちカンボジアの子供たちが普段何気なく使っ

ている木とか葉っぱで出来たおもちゃにより興味を持つんだ」ということがここで伝えなくてはならない

こと。








行間(英語でImplication)を理解することが翻訳における至上命題。

それは普段何気なく文章に接していては身につかない能力である。

一字一句をしっかり読むことがとっても大事。

政治家の「前向きに善処します」を額面通りの意味に解釈してよいのかということ。

よく「英語の語学力云々」といわれている。

しかし外国語が出来るかっていうことは、どのくらい自分が国語力を持っているかに大きく反映される。

突き詰めていけば、どのくらい日本語の文章を理解できているということ。

「この文章わからん」といって英文を投げ出してしまうが、

それを日本語に直しても理解できるかが問題なのである。

よくありがちなのは「文章を理解できないのは英語で書かれているから」だという責任転嫁。

しかしそれは自分のその分野に対する日本語においての理解も足りていないということ。

もし新渡戸稲造の『武士道』の日本語訳が理解できないなら、当然英語の原本もチンプンカンプンだ。

しかも翻訳という作業は文章の下に隠されている意味を正確に理解しなければならない。

自分は軽い気持ちで「翻訳の仕事とかやってみたいな」と思ったが、

それはとても大変なことだと気づく。

翻訳=鬼の難しさ