転居

勉強しやすい環境を整えるために引っ越すかもしれない。

しかしそれが実家から4キロほどしか離れていない団地なのだが、

もともとは姉がそこで一人暮らしをして、お互いに場所を交換するということになりそうだ。

私が住む地区で最も世帯数が多い町会としての誉れ高い団地。

遠望には東京の海上輸送の終点である大コンビナート地帯の無機質な景観が広がる。

海辺であるために雨も晴れもジャングルのようにきまぐれにやって来る気候。

日の出桟橋から出向する船の汽笛もこぼさず運ぶ風が常に吹きこむ。

それでいて数万人の住人にもかかわらず昼夜は不気味なほどひっそりしている周辺一帯。

そして三千世界の団地妻たちが居を構える、あの某団地である。




そしてスウェーデン時代に学生寮に住んでいたことを思い出した。

もしかするとあのときのように友達がたくさんできるかもしれない。

日本の集合住宅なので、週末はどこかの棟でパーティーを開催というようなことはないだろうが、

今はそんなパーティーなどを心待ちにするような好奇心はなくなってしまった。

なによりも環境が変わるということは何よりも自分にとって刺激になるのだ。

いま私の心中には興奮と不安が入り混じっている。