思い出たちの墓場

今度は日法の学部案内に私のことが載るらしい。
前回の入学案内への掲載と同時にこれは大変名誉なことなのだがその幸福な知らせすら、
私の二日酔いの頭には全く快く迎え入れられ得ない。
取材の詳細を聞いた私はまず第一にそれに伴うわずらわしさを覚えた。
インタビューでは「法学部に志望したきっかけ」や「大学入学する以前の自己像」など、
今では私のキャビネットに閉じ込められた追憶の山たちに光が当てられるようなのだ。
かつての「サークル活動」などどいうあの烏合の衆たちの集まりにまで質問が及ぶということは、
私の心がその不可侵部分まで侵されることに等しいのである。
思い出されても感謝されない大学生活の半身は私のあの日々の愚かさを今でも命あるものにしている。